2024年
第72回東京藝術大学卒業・修了展 出展
【映像】HD ビデオ 79分43秒

story
これは秋田に住む夫婦と亀の話だ。
夫の菅原睦実は2021年に亡くなられた。
「夫が何を残してきたのか」 菅原睦実の妻、のぞみは行動し、試すこと、思考すること、許すことを行なった。 そうして、車椅子で生活していた夫と喧嘩をした場所、十和田市現代美術館に向かうのだった。
経緯
「秋田でやり残したことはもうない」と思っていた矢先に起こった出来事だった。
大学院進学も決まって、1ヶ月後に秋田を出ることが決まったのに、菅原睦実さんは亡くなられた。
奥さんの菅原のぞみさんのことが気がかりのまま、私は秋田をでてずっとモヤモヤしていた。
物理的には遠くとも、近しく大切にしたい存在の「声」を聞き。一緒に行動し、許すこと、試すこと、思考することをし続け、カメラを向けた。そして睦実さんがいなくなって4ヶ月後にやってきたリクガメのいんくが、亀のような時間でものぞみさんを動かしたように見えて仕方ないのだ。
のぞみさんの話を聞きたかったこの最初の衝動を私は「使命感」と思っていた。「話を聞かなくてはならない」「残さないといけない」という想いが私を動かしたと思っていた。しかし、1年半の対話を通して思うのは、2022年2月24日のお通夜を日々思い出して、切にのぞみさんがどこか遠くにいってしまうのではないかと思ったのだと思う。
とてもおこがましく、迷惑だったかも知れないけれど、私は、どうかのぞみさんに生きててほしいと思って、ずっと話しを聞きに行ったり、行動を共にしていたのだと今は思えるのだ。






